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2009年6月

ホーリーと観劇! part 1.「地面の底が抜けたんです!」

・・・ 3年目に突入!
    でも、まだ2006年の話 ・・・

 「そんなことができるの!?!」

 ある日、見えなくなって初めて、ホーリーと一緒にお芝居を観に行きました。
その日は私とホーリーにとって記念すべき日! あれっ、いつだったかなぁ?
忘れちゃったけど…。(汗)

観に行くと言っても地元の生涯学習センター。お芝居と言っても一人芝居で、
毎度ながら地味~なんです。でも、重い腰を上げた理由、それは、題材が
ハンセン病だったから。と言うか、原作者・藤本としさんの生き方に刺激されて。
今回はチョコっとまじめモードで~す。

 ひとり芝居の案内のコメント。「視力を失った著者・藤本としさんは、
麻痺した指の変わりに舌先で点字を読み…」。{エッ!舌先で点字を読む!
読めるの?}。

「自分は中途傷害で点字の触読が苦手…」と、いつも努力不足を棚に上げ、
点字触読をさぼり続けていた私。(汗) 信じられませんでした。
だって舌ですよ。舌ってベロですよベロ。あの小さな点の集合を、空白部分の
判別を舌先でやったなんて…。ただただ唖然、驚嘆です。

私とは根性も精神力も違い過ぎる。とは思ったけど、藤本さんがどうして
そこまでして点字を学んだか。どんな人だったか知りたくなったんです。

 舞台の飾り付けも見えないし、役者の動きも見えない。それでも観に行きたい
と思ったもう一つの理由は、一人で演じるとはどんな事か知りたかったから。
目の見える人にはかなり視覚に訴える効果があるそれらを、あえて抜きに
演じるってどういう事だろう。朗読とどう違うんだろう?

それでも衣装や音響、演技の助けはある。音にしか頼れない見えない私に
ひとり芝居から伝わってくるもの、訴えてくるものって何だろう? 私はそれが
知りたかったんです。

 でも、脚色され言葉が抽象的になっていたら、私にはせりふの意味も何も
判らない。だから、事前に原作を読み、全体を頭に入れておくことにしました。
そうすれば、話が省略されても{あの場所だ}って判るし、{脚色って
こんな風にするのか}って判るでしょ。どうです、研究熱心でしょ。

全ての本が朗読されテープになり、点字になっている訳じゃないです。
が、運よく、この「地面の底が抜けたんです」の朗読テープが日本点字図書館に
ありました。

テープで本を読み、準備万端。この本がどのように脚色され演じられるのか、けっこう楽しみだったりして。いやな趣味かも…。(汗) だって、声だけの
情報しかない私に、結いさんの舞台は何を訴えてくるのか興味があったんだも~ん!

 主催者にお願いし、末席のドアに近く、みなさんの出入りにご迷惑に
ならない所に席をとってもらいました。もし、ホーリーが舞台の大きな音に
反応してしまったら、すぐに退席できるようにと思ったからです。私も初めて
だったけど、何せホーリーにとっても初めての体験なんですから。

実は、訓練センターでハープ演奏の慰労があったとき、演奏終了後、
ホーリーったら、まるで「ブラボー!」とでも言いたげに「バウーゥ」と
鳴いたんです。訓練士もいたし音も大きくなかったし…。これは絶対にブラボーの
意思表示、もしくはアンコール要求。私はそう思いました。

同じ事を芝居の最中にしてしまったら…。大きな音に反応してしまったら…。
終了後に「ブラボー」と鳴いたら、きっとみなさん全員が思うでしょう。
「盲導犬なのに!」って。(号泣) だから、過去に実績のある身では、出かける前に
退散のための気配りが必要だったのです。(大汗)

 そんなこんなで迎えた当日。その日、車から降りた私たちをいち早く見つけ
声を掛けてくれたのは、なんと、あの百戦錬磨のNさん! どこに出没しようと
公報担当だから不思議じゃないけど、とっくに時間外労働。公報作りって
大変なのねぇ~。(しみじみ)

 そうそう、当日の模様を書く前に本の内容と役者さんについてご紹介。
あれっ、なんだか別のブログみたい? まぁいいか!

「地面の底が抜けたんです」著者・藤本とし(1901年~1987年)
結婚が決まった18歳でハンセン病を発病。20歳で父親が、23歳で母親が死去。
四肢の麻痺に加え47歳で失明。療養所を点々とし、岡山県の国立療養所
邑久光明園にて86歳で逝去。この本は、著者の話しを口述筆記しまとめたもの。

ひとり芝居 役者・結い 純子
2001年「地面の底が抜けたんです」初演。公演通算100回を超える。
「人生一発勝負」の構成演出で文化庁芸術祭優秀賞を受賞。

と言うことで、興味のある方はグーグルして下さい。視覚障害者の方は、日点に
朗読テープがあります。北条民雄著「いのちの初夜」もあります。

 つづく

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三年目のスキンシップ!

・・・ 3年目に突入!
    でも、まだ2006年の話 ・・・

 「やっと心を開いてくれた!!」

 「言うこと聞くようになるまで2年かかるわよ」と、先輩ユーザーに言われ
苦節2年! お題目のように{2年、2年!}と言い聞かせて来たこの月日。
とうとう3年目を迎え{よ~し、これからだぁ~!}と、2年経って突然
大変身なんかするわけないのに…。(汗) そんなことにも気づかぬほど
「忍」の一字で耐えてきた月日!!(号泣) とにかく、期待に旨を膨らませる私。

 駅前にある地域の人の憩いの場。私とホーリーは、毎週一回、
お散歩の途中でそこに立ち寄り、みなさんとおしゃべりしてきます。
接待してくれるボランティアの人たち三人が大の犬好きで、いつもホーリーを
熱烈歓迎。

そう言う気持ちは彼にも伝わり、憩いの場が近づくと、ホーリーのそれまでの
テレテレ歩行が弾んだものになるからおもしろい! まったく判りやすい子です。(汗)

 いつものようにお茶をいただき他愛ない話で大笑いしていると、足下の
ホーリーの顔がピッタリと寄り添って来ました。靴下を通して伝わってくる
ホーリーの温もりは心地よく、そんな態度に{あれっ、どうしたのかな?}
と思いつつ、{先輩が言ってたのってこれだ! 二年経って、ホーリーも
ようやく甘えるようになってくれたんだ}と、一人でジーンとしていたのでした。

実は、盲導犬協会での共同訓練中、ホーリーが私の靴の上に顎を乗せ、
親しげと言うか、安心して身を任せていると言うか…。リラックスする態度を
見せてくれたことがあったんです。でも、だんだんしびれてきた足をどうすれば
いいか判らず、訓練士に聞くと「はねのけていいですよ」と言われ実行してから、
以降、ホーリーは顎を乗せなくなっちゃったんです。(涙) あのときの私の態度は、
きっと、デリケートなホーリーにはインパクトが強過ぎて、彼の気持ちを
傷つけてしまった。それが今の態度・歩行に現れているのでは…と…。

後悔先に立たず。内心あのときの自分の行動を悔やんでいたのでした。(涙)
だから、2年経ってようやく足に寄り添ってくれた時は本当に嬉しくて嬉しくて…、
信頼回復!って感じだったんです。(号泣)

ちょっと足をずらし机の下からつま先が出ると、今度はつま先の上に顎を
のせます。もう間違いありません。かかとより広い場所に懐くようにピッタリと
くっつくんだから、これが愛情表現・信頼回復でなくて何でしょう。先輩の
言った事は本当でした。(再び嬉し涙)

  こう言う滅多にない感動秘話は、絶対に家族に伝えなきゃね! 夕食時、
勇んで食堂に行くと、突然大きな声で言われました。
「そんな靴下はいてったの?」。

そんな…と言われても、これは通販のニッセンで買った、透かし編みの
私のお気に入りの一足。それって趣味の違いでしょう、趣味の! と腹立たしく
思った私。

{第一、自分の趣味だってお世辞にもいいとは言えないでしょ}と、
言いたかったけど言わず、ムスッとした声で「お気に入りなんだけど…」と
だけ言い返したのでした。だって、食事前だし…、おかずの盛りが少なくなると
困るし…。(汗)

が、返って来た声は、「それ、透かし編みじゃなくて、かかととつま先が
薄くなってる普通の靴下なんだけど…」。{ゲッ!そそそうだったの!!}(大汗)
あ~ぁ、文句言わなくて良かった。完璧におかずが一品減ってるところだった!

 見えない悲しさ。お気に入りの一足と思って履いていた靴下は、すり切れる
寸前の親指トムが出てきそうな、悲しい靴下だったのです。ホーリーの暖かさが
いつになく心地よく伝わってきたのは、苦節2年を乗り越えての感動の温もり
ではなく、靴下が薄かったからだったのでした。(号泣)

そう言われホーリーの動きを思い出して見れば、私の足の動きに会わせ、彼の
くっつく位置も変わっていたような。まるで、みすぼらしい靴下をみんなの
視線から隠すかのように、顔を寄せてくれていたのです。なんてけなげな
良い子なんでしょう。(ばか親の涙)

 あの時のホーリーの顎乗せ行為が、私に心を開いてくれた証拠か、それとも
靴下の穴隠しか。残念ながら未だに不明。だって、あれから靴下の穴チェックは
バッチリだし、たぶん、穴あき靴下は履いてないと思う。だから、人前で
穴隠しのために顎を乗せることはない。となると、その後の憩いの広場で顎を
乗せないのはなぜ…。うち解けた行為じゃなくて、やっぱり穴隠し…。(汗)

それでもあの時、{ママに恥をかかせちゃいけない!}くらいは思ったかなぁ~と、
ちょっとは期待し、{事前に言い訳しておけば、みなさんだって{穴あいてるの
判らないのねぇ~}なんて、悲愴感は感じないだろうし、今度、試して
みようかな~?}と、歩行の悩みそっちのけで性懲りもなく悩む私でした。

 END

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マーリーよりいい!

・・・ 大ぼけ! 出会いは2005年。
    2年目だからーー2006年の話し(汗)・・・

 「イヤ~すごすぎる!!」

 いくら話題の本でも、印刷物では読めない私たち。(早くも涙) 1年遅れで
「マーリー 世界一おばかな犬が教えてくれたこと」の点訳が完成! 一気に
読み終えました。で、感想。「ホーリーはマーリーよりいい!」(大汗)。

「ホーリーと歩く、これが今の私の歩くってこと」と悟り、私にもようやく
自覚の春が訪れようとしていた頃、季節はとっくに春を見送り、気温は
日に日に高くなり、悟りなんてぶっ飛ぶほどジリジリと暑くなっていたのでした。

確かに悟りましたよ。悟りましたけど…。相変わらずのホーリー君のガイド
ぶりに、出てくるグチは気温の上昇と共に多くなり、まるでモグラ叩きの
モグラのよう。しかもこの機械壊れているようで、次から次へとたたき
つぶさないと出るは出るは。出たら出っぱなしなんです!(汗)

 で、本ですけど、主人公のマーリーがラブラドールってことだし、おもしろい
って聞いてたので読んだんだけど、これがまぁすっごいラブちゃんで、ほんと、
おもしろいのおもしろくないのって…どっち?

誰かと比較して「自分じゃなくて良かった」とか、「私の方が幸せ」なんて
思うのはよくないけど、盲導犬に関しては良い話ししか知らなくて、家庭犬の
状況も判らない。ホーリーの良い所は判っているんだけど、肝心の盲導犬
としては譲れない物差しがあって…。そりゃそうです。彼のガイドは、即、
お互いの命に関わる問題なんですから!!

 誰かと比べられるのはイヤだけど、比べる相手がいないのもつらい!!(汗)
ところが、ペットとは言えマーリーを知ってから{上には上がいるけど
下にも下がいる!}と、気持ちがすっごく楽に。(マーリーごめんね)

それに、著者の思いは、私がこのブログを書く時に思っていることと同じ。
って、本を読んでいない人には判らないので、マーカーで印を付けた箇所を
ご紹介しま~す。

「自分がマーリーのことを書きたいのは判っていたが、書くならオールド
イエラー(黄色い老犬)やリンチンチンの生まれ変わりのごとく完璧な犬
ではなく、ありのままを書きたかった。
(中略)
失ったペットを思い出すとなると、朝食に卵を焼いてくれない他は何でも
ござれの、主人に尽くす超自然的な気高い獣として書く人が多い。僕は正直に
語りたかった。」

 どうです。言えないですよこんなこと。第一、自分の犬の恥や破天荒ぶりを
暴露して笑いを誘うんだから、ある意味自虐的。あっ、ってことは、私のブログは
自虐的(号泣) 

 だけど、読んでいるうちに気づくんです。マーリーのありのままを書いて
いるのに、一部を抜き取ったような作られた感動にはない、自然の暖かさや
感動が彼の一生に充ち満ちているってことに!

良いことだけ書こうと思えばあっただろうけど、そんなことしなくても
伝わってくるものがいっぱい。それに、お手上げ状態で呆れ、捨てられたって
おかしくないマーリーと一緒に暮らしているだけですでに美談!ほんと、
それくらいすごいワンちゃん。

 おもしろいのは、著者が「世界一のバカ犬」と書いたコラムに「うちの犬こそ
世界一」との反論が多かったこと。著者はバカ犬クラブと言ってるけど、
ホームページの掲示板にもバカ犬自慢がいっぱい。読んでいると、みんな本当に
自分の犬が大好きだって判るし、呆れながら、それを見守る目はほほえんでる。

あの~、実は、私も書き込もうと思い、何度もHPに行ったんです。でも、
キーのみでPCを操作する私には、みなさんには簡単なそれが叶わなかったんです。
と書けば「ヘェ~、なかなかやるじゃん!」なんて声が…ないか! 本当は、
英語力に問題があって書き込めなかったんだけど、PC操作のせいに出来て
ラッキー! (号泣)

 このブログでホーリーとの日々の悪戦苦闘ぶりを書いてるけど、実は、
涙なくしては読めない美談ネタもたくさんあって、TPOに会わせて小出しに…
と思っているんだけど、なんせ、美談よりおもしろいネタに押され、表に出る
チャンスがないんです。私同様、美談も地味~なのよねぇ?(汗)

もう昔のようには歩けないと悟った私。そんな私をガイドするホーリーも、
比べればマーリーよりずっといい訳で…。なぁ~んだ、それじゃ何の問題も
ないじゃない。上には上がいて、目が見えるMrグローガンさんだってマーリーには
手こずってルンだから、アイコンタクトの出来ない見えない私が手こずって
当たり前。開き直れば心にゆとり!(笑み)

 芥川賞受賞作品「蹴りたい背中」の一字違いで「蹴りたい田中」って本が
あるけど、親戚の子が言うんです。「ホーリー 世界一おバカな犬が教えて
くれたこと」って! これも確かに一字違い。(涙)

一度も犬を飼ったことのない私。ホーリーに教えられてることはいっぱい。
でも…切れまくってグチばっかり言ってても、ホーリーのこと、やっぱり
「おバカな犬」なんて言えない、書けない。

BUT、ご安心下さい。原題はもっとステキです。(笑み) それに、私も親戚の
子には「親バカじゃなくてバカ親」なんて言われてるんです。これって似た者
同士?!(号泣)

…参考…
邦題 「マーリー 世界一おばかな犬が教えてくれたこと」
著者 ジョン・グローガン

原題
「Marley and Me . Life and love with the world's worst dog.」

著者のHP。マウスが使えないためリンクが張れませんでした。
興味のある人はコピペして自力で行って下さい。マーリーの子供の頃からの
写真や、ネイティブ英語による本の朗読が聴けます。今は映画の話題が
多いけど、掲示板も読んでね。

Marley & Me - John Grogan :: Harper Collins Publishers
http://www.johngroganbooks.com/marley/index.html

… 完 …

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