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僕の家の犬なんだ!

・・・デビューしたてー若葉マークの頃ー2006年

 もう帰ったほうがいいんじゃないの?」
ホーリーが我が家に来てから、月に一度の訓練センター行きが定例行事となりました。
ハーネスもリードも外し、ここから巣立った盲導犬仲間の犬たちと、思いっきり自由に
遊ばせてあげる時間。のはずが、夏の間はお休みだと新米ユーザーの私は知らなかった
のです。(汗) それでもホーリーを走らせてあげられたのは、ひとえにH訓練士の
優しさからでした。あっ、これには少し説明がいります。

フリーランがあると思いこんでいた私は、遊んだ後に彼のシャンプーをしたいと思い、
犬舎の施設使用の予約電話を入れたんです。その電話にたまたま出たのがH訓練士。
「不慣れな私と歩いてストレスいっぱいだろうから、せめて、少しでも走らせてシャンプー
してリフレッシュさせたい」と言う私の希望を聞き入れ、ちょうど希望訪問日が自分の
当直明けだったことも幸いし、フリーランに立ち会いながら、ついでに私にいろいろ指導
してくれたのでした。(感謝) だから、もしHさんがその電話を取らず、訪問希望日が
Hさんの宿直明けじゃなかったら、私たち家族はセンターに行けませんでした。でも、
私たちは何も知らず出かけ、しかも、Hさんのこんな優しさがそれからも数回続いた
んです。だから、そこで出くわした全てのことは、きっと偶然ではないと思う私。
(感激の涙) 相変わらず前置きが長い…。(汗)

 フリーランを終え三階から下りてくる途中、二階の一室からマイクで話す声が聞こえて
来ました。何事かと問うと、パピー(子犬)の委託式とのこと。許可を得、私たちは末席
に鎮座ましましたのでした。お散歩時の注意や病気のこと、予防接種や薬・フードの費用
負担、協会からのレンタル品etc。たくさんの約束事の一つ一つに、これから約10ヵ月、
委託する子犬たちに対するきめ細やかな愛情を感じ、{2年前、ホーリーもこんな風に
パピーウォーカーに預けられたんだ!}との思いで、旨がキューンとなったのでした。

 5頭の子犬が一緒に入ったケージが一つ、台車に乗せられゴロゴロとやって来ました。
台車が近づくや否や、あちこちから歓声と「可愛い!」の声が挙がり、続いてシャッター
を切る音! 一瞬にして部屋は大撮影会場に早変わり。その歓声を聞き、部屋にいる
おおよその人の数が判った私。なんと、5頭の子犬が預けられるそれぞれの家庭が、一家
総出でお迎えに来ていたようで、室内にはかなりの人がいたんです。(感激)

 盲導犬の名前はパピーウォーカーがつけます。職員が1頭ずつ子犬をケージから出し、
子犬につけられた名前を呼ぶと、預かり手の家族がそばに行き子犬を受け取ります。
ワクワクの瞬間!! よく判らない難しい話をおとなしく聞いていた子供たちは、この時を
ずっとずっと待っていたんです。(微笑み)

それぞれの犬を預かり、参加者達は三々五々帰宅し始めました。出口付近で座っていた
私は、H訓練士に子犬を抱かせてくれないか問うてみました。そばにいたご家族が、私に
その子犬を抱かせてくれたんです。もっとコロコロしていて丸っこいのかと思ったけど、
二ヶ月ともなると鼻面も伸び四肢も長くなっていて、私の思う子犬のイメージとは大違い!

私が子犬を撫でたりさすったりしていると、職員とHさんの「ホーリー…、ハハハ」との
笑い声が。「どうしたんですか?」と問うと、H訓練士と一緒に少し離れた所にいた
ホーリーが、その様子を見て焦ってると言うんです。私と子犬の顔を見比べ足り、お座り
して待ってる前足をドタバタ、今にもこちらに来そうな感じとのこと。いつもは、呼んで
も気に入らないとそっぽを向いてるクセに、少しは私を意識してくれていたようです。
(笑)

 もう一人、ホーリーと同じように焦っていた男の子がいました。幼稚園の年長さんか、
小学校1~2年生くらいかな? 長くて退屈な時間、ずっと我慢してようやく会えた子犬
なのに、お母さんは知らない人(私)に抱っこさせちゃって、もしかしたら連れて行かれ
ちゃうんじゃないのかと大あわて! こんな時、大人になんて言えばいいのか一生懸命
考えたんでしょうね、その子はこんな風に言ったんです。「ねぇ、もう帰ったほうが
いいんじゃないの!?」(微笑み)

お母さんは嬉しそうに私に話しかけてくれるんですが、「もう少し抱っこさせて
くれる?」。そう男の子に頼んでも、「帰ったほうがいいんじゃない」を繰り返すばかり。
一国も早く家に帰り、一緒に遊びたかったんでしょう。{ホーリーも焦ってるようだし…}
と、お礼を言って子犬をお母さんに返しました。見えないけど、男の子の顔に笑顔が
もどり、我が家のホーリー君も、ジタバタを止めて落ち着いてくれたんじゃないで
しょうか?(微笑み)

 滅多に行かないセンターで体験したパピーの委託式。「盲導犬クイールの一生」じゃ
ないけど、今、自分の傍らにいるホーリーの犬生の歴史の一こまを、垣間見た思いでした。
そして、このときHさんが手渡してくれた茶封筒の中にも、ホーリーへの愛情がタップリ
入っていたのです。

<しゅくだい>

1.盲導犬になるまでの愛のバトンタッチ

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