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窓際のホーリー

・・・デビューしたてー若葉マークの頃ー2006年

 「ホーリーは本当は出来るんだからね!」
まだ歩き始めの頃、応援や励ましの声も多かったけど、皮肉や嫌み、中には{どうか
ホーリーが理解しませんように!}と思うような言葉もたくさんあって、その度に私は、
ドッカーンと落ち込んだわけです。(涙)応援の声にはお礼が言えたけど、反対の声に
返す言葉はなく、{わざわざ言わなくてもいいと思うけど~}なんて、美談ばかりの
テレビの功罪を思ったものです。だって、みなさんは、ホーリーがどれくらい上手に
ガイドできるか知らないだけなんですから!(注.訓練士がいれば!涙)

 段差を上手に教えた時、横断歩道にピタッとつけた時、駐車中の車を教えた時etc。
上手にできた時はとにかく褒めちぎり、頭を撫でながら言いました。「グッドグッド!
上手にできたねぇ~!!ホーリーは本当は出来るんだからね!」ホーリー自身もちゃんと
できたことは判るようで、近づけた私の顔をペロリと一回舐めるのが{ウン}の返事。

きちんとできた時タイミングよく褒めると、本当に嬉しさを体全体で表現し、その後の
歩行は生き生きとして来ます。尻尾はブンブン!足取りも軽く、道路を歩くホーリーの
爪の音がチャカチャカと軽快!!判りやすい性格です。(笑) 

そんなお散歩は私もとっても楽しい。犬も人も毎日同じようには行かない。だから、
{こんな日のホーリーを見てもらえないかなぁ…。}と、酷評した人たちがどこかで
見ていてくれることを切に祈るのでした。(汗)

 「ずいぶんキョロキョロする犬ですね」「テレビで見るほどお利口じゃないのね」
「その犬、適正はあるんですか」「返品できないの」危なげな歩行を心配しての言葉だと
思うけど…。中には私の家まで来て「大丈夫なんですか?」と、母に言ってた人も
いました。それほどあぶなげだったってことです。(涙)

 そんな言葉を聞いた後、私は必ずそれまでよりもっともっとホーリーを褒めます。
と言うか、本当はホーリーにではなく私自身に言ってる気が…。ムクムクッとわき上がる
{もうイヤだ!}って気持ちを抑えるため。だって、人からそんなこと言われなくても、
身に浸みて判ってるのは私。一番困ってるのも私なんですから。だめ押しの一言は、
どうか各自で地面に穴でも掘って言って下さい。「王様の耳はロバの耳」って!(号泣)

私が頑張れる理由にはいろいろあるけど…。中でもこれが一番大事で難しいこと。3週間
の合宿訓練で、ホーリーが見せてくれた上手なガイドを信じるってこと。今は大変だけど、
あの時みたいにきっと歩ける!って信じ続けること。書くとちょっとカッコ良いけど、
現実には難しい~。(汗)

 無責任に投げかけられたグサッと来る言葉を跳ね返すように、「本当はできるんだから」
ってホーリーに向かって言ってるけど、「できる」にはもう一つ大切な意味があって…。
それは、自分の障碍を受け入れるってこと。

訓練士がいるとできることが、私とでは出来ない。この変化はとてもショック!本の中に
犬が変わると書いてあるのを見つけるまで、私は、自分がホーリーのガイドの邪魔をして
いると思い、「♪自分ばかりを 責~めて 泣いて暮らし~たわ♪」なんです。フラフラ
されればされるほど、犬にまでバカにされてると悲しく、視線の合わぬことのつらさを
思い知らされた訳です。(涙)

自由にどこにでも行けたのに…。そんな自分はもうどこにもいない。ただ歩くだけなのに、
駅に行くだけなのに…って、見えない自分の障碍の重さを見せつけられる訳です。(号泣)
 だから、自分自身に{できる、できる!}って言ってるのは、「見えなくなったって、
ホーリーと一緒にもう一度歩くことができる、できる!」ってことかなぁ。

 「窓際のトットちゃん」の中で、校長先生が、トットちゃんこと黒柳徹子さんに言い
続けてくれた言葉。「トットちゃん、君は本当は良い子なんだよ!」今、お散歩中に
投げかけられる酷評のほとんどはホーリーへのものだけど、私が彼を嫌いになったり
嫌になるには充分なほど、マイナスパワーに充ち満ちてる!(涙) 目の前で起きてる
ことは全て真実。極秘練習が難しい私にとって隠しようがないけど、だからこそ、
マイナスパワーに負けないよう、ことあるごとに、自分に、ホーリーに言い続けないと。
そうじゃないと、私はホーリーと楽しく歩くために大切なもの。彼への信頼とか希望とか、
良い人犬関係を持ち続けることができない!!(号泣)

だって、バリアだらけの町を行く私たちのお散歩は、毎日毎日が命がけ。信じて協力
しあわなきゃ、怖くて一緒になんて歩けないです!だから言い続けます。
「ホーリーは本当は出来るんだからね!」そして同時に自分にも!{ホーリーも私も
できる!できる!!}(微笑み)

<しゅくだい>

1.誰にでも一年生の時がある

2.口の批評よりまなざしのエール!

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